MENU
082-814-9910
受付時間 19:00~22:30/診療時間 19:30~23:00
※月〜土曜日(祝日・年末年始を除く)

内科(15歳以上)の軽症患者を診療します。
受診前に必ず電話でお問い合わせください。(受診のお問い合わせ19:00〜)

来院時、発熱、風邪症状などがある場合は施設内での診察ができない場合があります。*直接来院されても診察できませんのでご注意ください。

NOTICE

Q&A よくわかるインフルエンザの話

今年もインフルエンザの流行の季節が来ました!

Q. 症状だけで、診断がつきますか?

A. 「病院の先生は症状だけでインフルエンザを診断できる」と思われている方もあろうと思いますが、実はできません。流行期か否か、インフルエンザ患者との接触歴はどうかが、最も重要な診断のカギとなります。熱が低くても、迅速検査で陰性であっても、接触歴があればインフルエンザの疑いが濃厚です。

Q. 一冬に何回もインフルにかかることがありますか?

A. 今季は、平成26年1月17日現在で、A型H3N2が265件、A型H1N1pdm09(2009年に流行した型と同じもの)が136件、B型(ビクトリア系、山形系その他)91件が検出されています。よって、この3種類すべてに罹る可能性があると考えていいでしょう。因みに、今季のワクチンは3種類とも型が合っています。

Q. 妊婦や授乳中のひとはワクチンを打っても大丈夫ですか?

A. 授乳期間中でも、「インフルエンザワクチンを接種しても支障はない」(国立感染症研究所)、妊娠初期に「インフルエンザワクチンの接種を受けたことにより流産や先天異常の発生リスクが高くなったという報告は現在のところない」(国立感染症研究所)となっています。アメリカでは、妊娠中に感染すると重症化する可能性があるため、積極的に薦めているそうです。実際受けるときは病院で相談するのがよいでしょう。

Q. 卵アレルギーのひとはワクチンを打てますか?

A. 「通常は卵アレルギーがあってもほとんど問題となりません。しかしながら、アナフィラキシーショックを起こしたことがあるような、重篤な卵アレルギーの人は医師とよく相談しましょう」となっています(国立感染症研究所)。

Q. 高齢者は2回接種する意味がありますか?

A. データ上は1回で十分ということになっています。小児は2回やると効果がよいとのデータがあります。国は12歳以下に2回接種を推奨しています。

Q. ワクチンは期待できますか?

A. 諸々の調査研究から分かったことは、「感染を抑えるのは限界がある。感染してしまった場合でも、重症者や死亡者を抑えることが期待できる」というものです。1990年台後半ワクチンの接種率がかなり減少した時期がありましたが、その時インフルエンザによる入院重症患者や死亡者数は明らかに増加しました。

Q. ワクチンに未来はありますか?

A. 鼻の粘膜からウイルスの侵入を防ぐワクチンや、細胞培養やBaculoウイルスを利用したワクチン(現在は鶏卵を利用しています)、ウイルスのタンパクが変異をしない部位を狙ったワクチンなど、今より優れたワクチンが研究されています。

Q. 話が変わりますが、インフルエンザで最も用心しなければならない合併症は何ですか?

A. 肺炎とインフルエンザ脳症です。

Q. インフルエンザ脳症とはどのようなものですか?

A. インフルエンザ脳症は最も重篤な合併症です。日本では、毎年100~300人の子どもが発病しています。1歳をピークとし6歳以下が多いのですが、成人の例もあります。インフルエンザ脳症は、発熱から数時間~1日と早く発症するのが特徴です。「けいれん、異常行動、意識障害」に気付いたらすぐ病院に行きましょう

Q. 異常行動の原因はどのように考えたらいいですか?

A. (1)熱性せん妄、(2)脳症、(3)タミフル(?)の3つが考えられます。「熱性せん妄」は、熱に伴う機能的なものであり心配はいりません。「脳症」は大変心配です。「タミフル」においては、現在は因果関係はないということになっています。しかし一応用心が必要です。

Q. どのような用心が、タミフルには必要ですか?

A. 最新の(平成25年10月)厚労省の安全対策調査会の内容を要約しますと、「タミフルと異常行動との因果関係を示す結果は得られていない。しかし10歳以上の未成年の患者においては、原則としてタミフルの使用を差し控えること。 また、小児・未成年者については、本剤による自宅での治療が開始された場合は、服薬後の患者が一人にならないよう配慮すること」としています。

Q. もう一つの合併症の「肺炎」について教えてください。

A. (1)インフルエンザ肺炎、(2)細菌性肺炎、(3)インフルエンザ肺炎+細菌性肺炎(混合肺炎)があります。
インフルエンザ肺炎は稀なので詳しくは割愛しますが、インフルエンザ感染初期に肺炎が起これば疑われます。一方細菌性肺炎は、感染後一旦下がっていた熱が再燃し、それと共に肺炎が起こるのが一般的です。細菌性肺炎は大変多く、65歳以上の20%というデータがあります。ただし高齢者は症状があまり出ないため用心が必要です。

Q. 抗インフルエンザ薬と抗生物質を一緒に飲めば、肺炎の予防になりますか?

A. 実は予防効果があるというデータはありません。しかし、リスクファクターのある人(高齢者、糖尿病、臓器に慢性の疾患を有する人、低栄養の人など)に対しては、手遅れにならないような抗生物質の投与が必要であるかもしれません。インフルエンザによる直接死因は肺炎が最も多いということと、肺炎を合併した人のうち90%が何らかのリスクファクターを有していたという理由からです。もちろん、やたら誰も彼も予防で抗生物質を飲むことは推奨できません。

Q. 肺炎をもっと事前に予防する有用な手立てはないのですか?

A. 肺炎対策上最も有用なのは、ワクチン接種です。肺炎球菌ワクチンを打つと、肺炎の発症率が減り、死亡や入院が30~70%減少するとのデータがあります。

Q. 次にタミフルなどの抗インフルエンザ薬について教えてください。効きますか?

A. 薬の効くメカニズムを理解すると、効く気がしてきます。インフルエンザウイルスはノイラミダーゼと言う酵素を持っています。ヒトの細胞内に入り増殖したウイルスは、この酵素のおかげで、細胞からスムーズに出ていくことが出来ます。タミフルを飲むと、この酵素の働きが無くなり、細胞からスムーズに出ていくことが出来なくなり、ウイルスは壊れてしまいます。
ところで、ウイルスの増殖は発熱後48時間ぐらい続いているので、薬は48時間以内に飲んだ方がよいとされています。私は、48時間過ぎてたちまち増殖がなくなるわけではないので、48時間過ぎたひとにも出すのがよいと考えています。しかし効くとも効かぬとも実は48時間以降のデータはありません。

Q. 「普通の風邪」に効きますか?

A. ノイラミダーゼ酵素はインフルエンザウイルスにしかありません。よって普通の風邪には効きません。

Q. 妊婦・授乳婦はタミフルなどの抗インフルエンザ薬を使用しても大丈夫ですか?

A. 「奇形性に関して抗インフルエンザ薬は安全であることが報告されています。母乳中に対する移行は極めて微量で、新生児に対する副作用のエビデンス(証拠)はありません。治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合には、患者に説明同意を得た上で薬を使用するよう勧めています」。(日本産婦人科学会)

Q. ポンタール、ボルタレン、アスピリンは飲まない方がいいですか?

A. 小児へのアスピリン、ポンタール、ボルタレンの投与は原則禁忌となっています。これらの解熱剤は、インフルエンザ脳症の併発時、脳症を助長する可能性があると言われています。
市販の風邪薬の中にアスピリン(一般名アセチルサルチル酸)を含有しているものも多くありますので、市販薬も用心してください。

Q. 漢方はききますか?

A. 「葛根湯」や「痲黄湯」に含まれる生薬の「麻黄」には、A型インフルエンザウイルスの増殖抑制効果が実験的に認められるそうです。5カ月~13歳の子供60人で比較したところ、タミフルより漢方薬の「麻黄湯」の方が2倍近く短い時間で治療でき、副作用などは見られなかったという研究があります。因みにタミフルは、薬草である「八角」の成分を化学的に操作して作られています。

Q. タミフル、リレンザ、イナビル、ラピアクタが効きにくくなることはありませんか?

A. 長く薬を使っていると、ウイルスや細菌に薬が効かなくなることは普通によく起こります。これを薬物耐性といいます。
2014年1月の最新の調査では、今季流行中の3種のどのウイルスにもリレンザ、イナビルはよく効きます。一方タミフル、ラピアクタは、A型H1N1pdm09の8%に対し効果が落ちています。
日本人が抗インフルエンザ薬をよく使用したからでしょうか? A型H1N1pdm09の変異する力が強いのでしょうか?

Q. 予防で薬を飲むことは、保険で認められていますか?

A. タミフル、リレンザ、イナビルは予防で薬を飲むことができます。しかし、保険は効きません。国が「新型インフル」と認定した場合に、はじめて公費扱いとなります。

Q. 昨年話題になった「鳥インフルエンザA型H7N9」は、今どうなっているのですか?

A. 中国にて25年2月に初発例が発生し、5月中旬まで継続発生していました。その後一時沈静化していましたが、7月に2例、10月に2例の発生があり現在に至っています。これまでの患者総数は137例で、うち45例が死亡しています。

Q. ヒトからヒトへの感染はないのですか?

A. これまでのところヒトヒト感染の形跡はありません。ウイルスが同じでも、トリからヒトへよくうつったからと言って、ヒトからヒトへ同じようによくうつる訳ではありません。うつらないのが一般的です。ヒトからヒトへの感染は、充分な疫学調査やDNA検査等の科学的手法で判断されます。

Q. 国の対策は万全ですか?

A. 国は、A型H7N9のヒトヒト感染が起こった場合も想定し、すでに迅速に対応できる体制を取っています。また、平成25年4月に施行された「新型インフルエンザ等対策特別措置法」に基づき、一層の対策強化に取り組んでいます。