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内科(15歳以上)の軽症患者を診療します。
受診前に必ず電話でお問い合わせください。(受診のお問い合わせ19:00〜)

来院時、発熱、風邪症状などがある場合は施設内での診察ができない場合があります。*直接来院されても診察できませんのでご注意ください。

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NOTICE

高齢者〝熱・風邪への心得〟

秋・冬はインフルエンザと感染性胃腸炎が流行ります!

Q. 高齢者の症状の出方に特徴がありますか?

A. 一般に、高齢者は症状の発現が少なく、症状があったとしても訴えが少ない傾向があります。よって、高齢者の場合、家族の訴えが、病気の有力な手がかりとなることがよくあります。たとえば、「いつもより元気がない」、「普段より食欲が少なくなってきた」、「最近寝てばかりである」、「最近何か変である」などの中に重い病気が隠れていることがあります。

Q. 体温を診る場合、留意することがありますか? また成人と高齢者では違いがありますか?

A. 一般に、人間は環境温に対する体温の調整能が完璧ではないので、生理的に 以下のようなことが起こります。

  1. 朝は低く、夕方は約0.5度高くなります(日内変動)。
  2. 室温が高くなると放熱機構が間に合わず体温が上昇します。
    (その最たる状態が熱中症です)
  3. 運動、入浴、食事などの活動の後には体温が上昇します
  4. 精神的ストレス、うつ病、自律神経失調、更年期、疲労でも上昇します。
    また交感神経が興奮すると上昇します。
  5. 脱水、鉄欠乏性貧血、女性ホルモンのバランス、甲状腺ホルモンの上昇でも上昇します。
  6. 抗ヒスタミン薬(鼻汁のくすり)、抗生物質、ある種の安定剤(バルビツレート)、麻酔薬などは体温の調整機能を妨げ、体温を上げることがあります。
  7. 風邪の後に数か月ほど微熱が続くことがあります。これを“感冒後微熱”といいますが、体温調整能が一時的に狂うためだといわれています。

これらは風邪や炎症による発熱とメカニズムが異なるため、高体温症と呼ぶことがあります。高体温症は解熱剤では体温は低下しません。

高齢者は、体温の調整能が成人の時より10%ほど低下しています。そのため、成人より高齢者の平熱は0.2度ほど低く、また日内変動も多くありません。
因みに日本、ロシア、東欧ではワキで測るのが一般的で、それ以外の国では、口腔温、直腸温が常用されています。

Q. どのようなものを風邪と呼んだらよいですか?

A. 急性のウイルス性の上気道炎(のど、せき、鼻)を風邪と呼びます。しかし、インフルエンザ、手足口病、麻疹などのウイルス感染症は、名前を付けて呼ぶことが一般的です。また“細菌による上気道炎”も風邪とは言いません。細菌感染症に抗生物質は効きますが、ウイルス感染症には効かないため、これらを鑑別することは大切です。

Q. 細菌による上気道炎とはどのようなものですか?

A. 細菌による上気道炎は、“風邪がぶり返した”あるいは“風邪をこじらした”ような形で起こることが多く、また“右のどがとりわけ腫れている”とか“一方の鼻からのみ緑の鼻汁が出る"など、炎症の部位がはっきりしているのが特徴です。鼻汁や痰、あるいは扁桃腺への付着物の性状からは、細菌によるものか、ウイルスによるものかを正確に診断することはできません。また、白血球やCRP(炎症反応をみるもの)などの血液検査も参考になりますが、正確には区別できません。最終的には細菌の検査をする必要があります。細菌性の気道の病気としては、細菌性の肺炎、副鼻腔炎や扁桃腺炎(溶連菌感染症)や咽頭後膿瘍や喉頭蓋炎などがあります。

Q. 発熱と上気道炎以外に、全身リンパ節腫脹、肝機能異常、湿疹、関節痛などがありますが、どのように考えたらよいですか?

A. これらは風邪と異なり、“ウイルス性の全身感染症”が考えられます。ウイルス検査をお勧めしますが、原因が分からぬままに自然治癒することも多くあります。

Q. 発熱以外、他の症状がないのですが、何に用心したらよいですか?

A. 発熱以外の他の症状がないと思える場合でも、①局所症状(膝が腫れて痛くないか、背中に痛みがないか等)の有無を改めてよく観察することや②感染源(カテーテル、注射、褥瘡、虫歯等)となるものが無いか調べること、あるいは③全身症状を観察することなどが大切です。食事がとれないのは良くない兆候ですし、冷汗がでる、脈が速い、息が荒い、意識が低下しているなどは、緊急のサインです。因みに糖尿病を持っていたり、透析中ですと、細菌に感染しやすくなります。

Q. 発熱だけの場合、どのような病気がありますか?

A. 熱だけの場合、やはり風邪であることが多いのですが、高齢者の場合、次のような重大な病気が隠れていることがあります。

  1. 感染症:肺炎、腎盂炎、心内膜炎、胆管炎、関節や筋肉、脳・髄膜の感染症
  2. 悪性腫瘍:血液のがんや大腸がん、腎がんなど各臓器の悪性腫瘍
  3. 膠原病:関節リウマチ、リウマチ性多発筋痛症、側頭動脈炎、SLEなど
  4. その他 :寄生虫、アレルギーなど

肺炎(寝たきりの場合は誤嚥性肺炎)、腎盂腎炎、感染性心内膜炎そして悪性腫瘍などが多いので、記憶しておくことが大切です。また結核や膠原病、HIV感染症も忘れてはいけません。

Q. 発熱の原因となる病気が分からない時は、どう考えたらいいですか?

A. 最近飲んだ薬があれば、薬で熱が出てないかどうか医師に相談するのがよいでしょう。薬による熱(薬剤熱)は、内服後平均8日(1日~数か月)で起こり、服薬を中止すると2、3日で解熱するといわれています。
また同時に、生理的な“高体温症”でないか考えてみるのがよいでしょう。

Q. それでも分からない時は、どう考えたらいいですか?

A. 精密検査をしても、なお原因不明の発熱を“不明熱”といいます。不明熱の患者さんに、抗生物質やステロイドを投与するか否かは医師の間でも意見が分かれていますが、高齢者の不明熱の約半数は自然治癒するというデータがあります。(若年~成人ではもっと高頻度に自然治癒するといわれています)
しかし、不明熱は治らなければ注意深い観察が必要です。